時期 | 先天性 |
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主な症状 | 上唇や口蓋がうまれつき裂けている。 |
病気の解説 | うまれつき上唇が裂けているものを口唇裂、口蓋(上の顎の骨の一部)が裂けている状態を口蓋裂といいます。 |
治療 | 手術をすればおおきな障害は、残りません。 まずは哺乳を助けるプロテーゼ(ホッツ床)を作製し口腔内に装着して哺乳をつづけます。 口唇裂では生後3~6ヶ月で体重が5.5kgを越えたところで手術を行います。 口蓋裂では言語確立の1歳半から2歳で体重10kgを目安に手術を行います。500人に1人で出現する疾患です。 まずは焦らず、相談先がわからない場合は、 歯科医院で相談されると専門の医療機関の紹介や同じ子どもをもつ患者の会のなどの情報が得られます。 |
見つかりやすい時期 | 生後6ヶ月~、通年 |
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主な症状 | 隣あう2本の歯がくっついて生えてくる。 |
病気の解説 | 歯が形成される時に隣あう2本の歯がくっついてしまうもの。 歯が大きく見えたり歯が1本少ないようにも見えます。 歯の表面だけくっついたものを癒着歯、象牙質まで深くくっついているものを融合歯、ひとつの歯胚(歯のたね)が分裂したものを双生歯と分類します。 |
見つかりやすい時期 | 1歳~ |
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主な症状 | 舌の裏のひだが舌の先まで付着している。 |
病気の解説 | 舌の裏のひだ(舌小帯)が、舌の先近くまで付着しているため、舌の動きが制限されます。 まれに歯列に形成にも悪影響をおよぼします。 極端に舌の動きが制限される場合は、発音などに影響がでますのでこのひだを切除することもあります。 一般的に局所麻酔で手術します。 この病気と似ていますが耳鼻咽喉科の疾患で舌癒着症という病気があります。 これは、舌の位置が前方へ位置しているので舌がひきつれて舌の後ろの喉頭蓋(のどの奥の食事を飲み込むときむせないための気道へのフタ)が引っ張られて誤嚥しやすくなったり乳幼児では、哺乳に障害がでたりいびきの原因にもなります。 口の中から観察すると舌強直症(舌小帯短縮症)に状態が似ているので、母親にこどもがいびきをしないか、 水分摂取でむせたりしないかを問診して鑑別します。舌癒着症を疑う場合は、舌のヒダの切除にとどまらず、 舌のつけ根にあるオトガイ舌筋に減張切開をいれます。 |
ホームケア | 舌強直症であれば、3歳くらいまでは、手術はひかえます。明らか言語の発達に影響がでたりしていないかよく観察します。 とくに「た行」や「さ行」の発音に影響がでますので心配な場合は歯科医師の診察を受けましょう。 |
見つかりやすい時期 | 新生児~、通年 |
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主な症状 | 頬の内側や舌が白い |
病気の解説 | 体の抵抗力が弱っているときに、赤ちゃんの口の中にカンジタ菌という真菌(カビ)が増殖し口腔粘膜や舌に白い乳カスのようなものが点状または、帯状につきます。妊婦の約2割は、産道にこのカンジタ菌を持っており、赤ちゃんが産道を通る時に感染します。そのほか、母親の乳首が不潔であったり、不衛生なガーゼで口をふいても感染することがあります。 一度この症状がでると何度も同じ状態になることが多いです。 症状は、生後1週間くらいから現れることが多いです。ふいてもとれにくく、痛みやかゆみもなく症状はほとんどありません。 |
治療 | 赤ちゃんが元気で食欲があれば 放っておいても自然治癒します。無理に取り除こうとすると粘膜に傷ができ哺乳障害となる場合もあるので経過をみるだけににし、広がるようなら早めに小児科医師か歯科医師を受診しましょう。治療には抗真菌薬を使います。これを1日1~2回白いところへ綿棒で塗ります。1~2週間でよくなります。 |
ホームケア | 清潔なガーゼでよだれをまめに拭いたり、哺乳びんや乳首を清潔に保つことが大切です。 再発しやすいのでお口のなかの観察をよくしましょう。 |
見つかりやすい時期 | 1歳~、通年 |
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主な症状 | 舌にぶつぶつや斑点ができる。 |
病気の解説 | 舌の表面に白っぽく縁取られた赤い地図状の模様ができます。まずは、白い斑点ができてそれがはがれるとその部分がまだらになります。痛みやしみることはないので治療の必要はありません。6歳くらいまで自然になくなっていくことが多いですが、舌表面の免疫異常で起こるとの説もあり成人になってもこの状態が続くことがあります。 |
ホームケア | 舌表面の色調の変化以外は無症状ですので口腔内を清潔にしてあまり気にしないことが大切です。 |
時期 | 先天性 |
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主な症状 | 生まれたときから下の歯が生えている。 |
病気の解説 | 生まれたときから、すでに下の前歯が生えている状態で、哺乳の際に舌の裏を傷つけて潰瘍を作ることもあります。ぐらついてぬけそうであったり、哺乳の著しい障害となる場合は、抜歯します。 |
見つかりやすい時期 | 新生児から生後3~4ヶ月、通年 |
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主な症状 | 歯ぐきに白い粒状のぶつぶつがある。 |
病気の解説 | 歯ぐきの高まりの部分に粟粒大の白くてぶつぶつしたものが見られます。 あごの中で作られた乳歯の組織の一部が表面にでたものです。痛みやかゆみもなく、乳歯が出てくる頃には、自然脱落します。 |
ホームケア | 歯科医師の確定診断を受けたら放置してよい疾患なので、そのままにします。無理にはがそうとしても取れませんし、歯肉を傷つけるだけなのでやめましょう。 |
判明する時期 | 1歳~、通年 |
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主な症状 | 乳歯が1本も出てこない。 |
病気の解説 | 乳歯は、早ければ3ヶ月あたりから、一般的には6~7ヶ月ごろに出てきますが、ある程度個人差があります。生後1年を過ぎても歯が生えない状態を乳歯萌出遅延といいます。 歯以外の身体の発達や発育に問題がなければ、あごの骨の中で乳歯ができているのに生えるのが遅れているだけでのことが多いです。しかし、先天的に歯がまったく形成されていない、外胚葉異形成症という病気がまれにあるので、念のため歯科医師の診察を受けましょう。医師の診断で問題なければ、あせらず気長に待ちましょう。 |
ホームケア | 歯が出てくる前にガーゼで粘膜をやさしく拭ったり、歯がため用の歯ブラシなどを与えて、口の中の手入れに慣れさせましょう。生えはじめが遅いせいで歯や口、言語の発達に影響がでることはそれほど心配いりません。3歳までに20本の乳歯が生え揃う場合がほとんどです。カルシウムを大量に摂っても歯は、早く生えませんのでバランスよい食事を心がけましょう。 |
なりやすい時期 | 1歳~、通年 |
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主な症状 | 歯の一部が黒くなる。 |
病気の解説 | 歯の表面のエナメル質が溶けて穴が開く状態。大人のむし歯菌が、赤ちゃんの口内へ移り、歯についた糖分を餌についてむし歯菌が酸を発生させます。この酸が歯に穴を開けます。 |
治療 | 痛みなどの急性症状が無い場合は、3歳くらいまでは積極的な治療は控えます。進行止めを塗ったり、歯科医院の雰囲気に慣れたり、食習慣の是正の指導をします。 |
ホームケア | 衛生面からむやみに口移しで食べ物を赤ちゃんの口へ運ぶのはやめましょう。むし歯の原因となる食べかすの除去が重要です。歯が出てきたらまず清潔なガーゼで拭く習慣をつけましょう。母子ともに正しい歯の手入れを身につけるために歯科医院での歯ブラシの指導も受けましょう。 |
かかりやすい時期 | 生後6ヶ月~、通年 |
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主な症状 | 発熱とのどに水疱。 コクサッキーA群ウイルスやエコーウイルスなど、夏風邪のウイルスで起こります。 |
病気の解説 | 潜伏期間は2~4日。突然39度前後の熱がでて、口や喉の奥(のどちんこのつけ根の周囲)に小さい水疱が数個から数十個できるので、のどが腫れてよだれがでます。 アンギーナとは、ドイツ語で狭くなるの意味で、その名のとおり喉の周囲が腫れて狭くなり、つばを飲みこむのがつらくなります。不機嫌で食欲も低下し、吐くこともありますがせきや鼻水の症状はありません。安静にしていれば、自然に治ります。口腔を観察する歯科医師がこの病気を見つけることもありますが、緊急時以外の治療は耳鼻咽喉科や小児科の医師に委ねます。水分がとれないほど痛む場合や高熱で苦しいときは、解熱薬を処方します。 |
ホームケア | 安静にすれば治ります。口の中が痛むので、食事は、熱かったり、酸っぱかったり、塩気の強いものは避けます。ゼリーや豆腐など薄味で喉ごしの良いものを少しずつ与えます。 脱水に気をつけ、水分補給も怠らないようにしましょう。医師の許可が下りるまでは、入浴はできませんので体を拭くなどして清潔に保ちましょう。 |
かかりやすい時期 | 生後6ヶ月~4歳、通年 |
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主な症状 | 5日以上続く発熱、不機嫌、発疹、舌の赤み。 |
病気の解説 | 乳幼児に多く、5日以上続く高熱、発疹、目の充血、イチゴ状舌などが診断の決め手になります。原因は、不明で、全身の血管が炎症を起こす病気です。4歳以下の乳幼児が患者の約8割を占めます。40度近い高熱が5日以上続いたり、手足が赤く腫れる、不定形の発疹が全身にでる、目の充血、真っ赤な口唇や赤くブツブツしたイチゴ状舌などの症状が出現します。舌の異常で歯科医師がこの病気を見つけた場合、直ちに小児科がある入院施設の整った病院へ患者を紹介します。治療は、ガンマグロブリンという薬の点滴をしますが、熱が下がり、心臓の冠動脈瘤ができてないかの確認が済むまでは、入院が必要です。 |
かかりやすい時期 | 生後6ヶ月~、通年 |
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主な症状 | 口腔内の発疹、発熱、全身の発疹、せき、鼻水 |
病気の解説 | 麻疹ウイルスの感染でおこる病気です。まずは、発熱、せき、くしゃみ、鼻水などの風邪の症状が3~4日続きます。一旦下った熱が再び上昇すると、口腔内の奥歯近くの頬の粘膜や下唇の裏側に白いブツブツした発疹が数個から数十個出現します。これをコプリック斑といい、発疹がでる前の診断の重要な手がかりになります。発疹は、すぐに顔や体幹にひろがります。発疹は、一週間ほどで赤から茶褐色に変し色素沈着を残しこのころに熱も下ってきます。 色素沈着もやがては消えます。口腔症状から歯科医師がはしかを疑う場合は、小児科医師へ患者を紹介します。感染力が強いので、早めに病院へいく必要があります。対症療法が中心で、解熱薬や鎮咳薬などの処方で体力の消耗を防ぎます。はしかに伴う肺炎は、重症化しやすいので熱が下らなかったり、せきがひどく、ぐったりしていないか注意がいります。感染後に神経難病にかかることもまれにあります。1歳をすぎたらワクチン接種(MRワクチン・麻疹風疹混合ワクチン)も検討しましょう。 |
かかりやすい時期 | 生後6ヶ月~、初夏~初冬 |
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主な症状 | 手足口の発疹 |
病気の解説 | コクサッキーA16ウイルスやエンテロウイルス71などの感染で起こります。 潜伏期間は3~6日。口の中に粘膜や舌、歯肉、口唇の内面などに丘疹(少し盛り上がった発疹)ができ、口の中と同時もしくは少し遅れて、手のひら、足の裏などに水疱ができるようになります。手足の甲、ひじ、ひざ、 おしりにも丘疹ができることもあります。口の中の丘疹が壊れて潰瘍になると、痛みのために食欲が落ちたり、のみこめないためによだれが増えたりします。熱は、37~38度程度でたいてい2日くらいで下ります。下痢や嘔吐を伴うこともあります。 |
ホームケア | 口の症状は3~4日、手足の症状は、7日程度で治癒します。跡もほとんど残りません。ただし、口の中の潰瘍がひどいと食事が摂れなくなりますので医師の診察と消炎鎮痛薬などの処方を受けましょう。口の中が痛むので、食事は、熱かったり、酸っぱかったり、塩気の強いものは避けます。脱水に気をつけ、水分補給も怠らないようにしましょう。 |
かかりやすい時期 | 1歳~、通年 |
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主な症状 | 口の中の斑点や水疱の形成、粘膜の痛み |
こんな病気です | 口の中の粘膜に水疱や白い斑点がでて時に高熱や痛みを伴います。 |
病気の解説 | 口の粘膜に炎症が起こってもの。原因は、さまざまですが、全身の病気などで体力が落ちているときにかかりやすいです。口内炎の種類には、いろいろありますが代表的なものとして、アフタ性口内炎とヘルペス性口内炎があります。 |
アフタ性口内炎 | 口の粘膜が一部はがれ潰瘍とよばれる状態になり、広い範囲で最初は赤くなり次第にただれの内側が白くなってきます。潰瘍は、1つだけのときもあれば複数できることもあり、大きさも直径1ミリくらいから1センチくらいまでさまざまです。また、熱がでたり口臭がでたりすることもあります。通常は、1週間から10日で治ります。 |
ヘルペス性 口内炎 | ヘルぺスウイルス(HS1)の感染が原因。一旦、感染すると体内の神経節と呼ばれる神経の交差点のような所にウイルスが一生潜むことになります。体調が良い時は、悪さはしませんが体の免疫力が低下すると口のまわりに水疱ができます。初感染や重症化すると38度~40度の高熱がでることもあります。アトピー性皮膚炎の赤ちゃんだと重症になることもあります。完治したあとも2度3度と再発することがありますが、再発を繰り返すごとに症状は軽くなっていきますので心配いりません。 |
治療 | 症状がひどくなければ自然に治ります。アフタ性口内炎には、ステロイド軟膏を用いることがあります。ヘルペス性口内炎にステロイド軟膏を使うと症状が悪化しますので自己判断は禁物です。 またヘルペス性口内炎では、症状が軽い場合は抗ウイルス剤軟膏を用い、症状がひどい場合は、抗ウイルス剤を5日間程度服用すると1週間程度で軽快します。自己判断せずに歯科医師や小児科医師の診察を受けてから薬は、使うようにしましょう。 |
ホームケア | どちらも食べ物や物理的刺激で痛みを伴うのでこどもの機嫌が悪くなりがちです。とくに、赤ちゃんでは注意が必要で、おっぱいやミルクの飲みが悪くなるので脱水に気をつけましょう。水分は湯冷ましや麦茶、食事は消化がよく刺激の少ないものを少しずつ与えましょう。胃腸の調子や体力が戻ると粘膜の治癒も早まります。口内炎の予防は、口の中を清潔にすることが一番です。歯みがきは、歯ブラシが潰瘍部分にあたって痛いので、しばらくは清潔なガーゼで歯の表面を拭ったり、歯ブラシがわりに綿棒で磨いてあげてください。 |
かかりやすい時期 | 生後6ヶ月~、通年 |
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主な症状 | 歯ぐきからの出血、鼻血、体に紫のあざ。 |
病気の解説 | 風邪のような症状のあと、1~2週間後に血小板が減少する病気です。 目の周りや胸などに赤い出血班ができ少したつとそれが紫のあざ(紫斑)になります。 鼻血や歯肉出血も頻繁に起こります。歯科医師が歯肉出血からこの病気を疑うときには、すでに血小板数が3万/㎣あたりまで低下していることが多く、ただちに小児科がある入院設備の整った病院へ患者を紹介します。 |