当院では、お子様には「健康な永久歯の完成」を目指し治療にあたっていますので、今後お子様と長い付き合いが出来ること を願っています。ですから小さなお子様には歯科に対して恐怖心のない様治療にあたっています。また、現状の虫歯の治療と共に「健康な永久歯列」のために予防歯科、矯正歯科を行っています。 以上の事により、歯科医師、歯科衛生士の各々専門的な処置として分担し治療を進めさせて頂きます。
1,フッ化物配合歯磨剤の新しい考え方
厚労省:フッ化物応用の総合的研究班(2006年)の見解1.
2,新しい応用法(使用方法の提示)
厚労省:フッ化物応用の総合的研究班(2006年)の見解2.
3-1,フッ化物配合歯磨剤の種類
フッ化物の種類による分類
①フッ化ナトリウム
②モノフルオロリン酸ナトリウム
③フッ化第一スズ
剤形による分類
①ペースト状
②フォーム状(泡状)
③ジェル状
④液状(洗口液、スプレー)
3-2,フッ化ナトリウム(NaF)の特徴
3-3,モノフルオロリン酸ナトリウムの特徴
3-4,フッ化第一スズの特徴
濃度については、薬事法にかかる承認基準でフッ化物イオン濃度(フッ素濃度)は、1000ppm以下に定められています。(次項の4-1、4-2参照)
形状の特徴としては、ペースト状はフッ化物イオン濃度が950ppmのものが多いものの、こども用に500ppm以下のものもあります。
ジェル状は、歯面付着物(着色)の除去効果よりもフッ化物の応用を主とした製剤で、中には歯磨き後に歯ブラシで歯面に塗布することを推奨しているものもあります。
フォーム状は、ほとんどが空気による泡のため体積でみるとペースト状よりフッ化物量が少なくなるため、吐き出しのできない低年齢児への応用に適しています。(4-3参照)
スプレータイプは、100ppmとフッ化物イオン濃度が低いため低年齢児の応用に適していますが、500ppm未満のフッ化物配合歯磨剤では全く効果が無いわけではないのですが、う蝕予防の有効性が明らかにされていないため、歯の生え始めの6ヶ月から1歳6ヶ月くらいでの初めて歯磨剤を使用する際の導入補助としての役目が主となっています。
4-1,フッ化物配合歯磨剤(一般販売)
フッ化ナトリウム配合→歯面の表層でのフッ素の定着性に優れる
ライオン
こども歯磨き
濃度非公開
キシリデント
ライオン クリニカ
950PPM
花王
クリアクリーン
濃度非公開
サンスター
DO
500PPM
950PPMの2タイプ
グラクソスミスクライン
アクアフレッシュ
濃度非公開
ゾンネボード
レノビーゴ
100PPM
ピジョンジェル
100PPM(6ヶ月~)
500PPM(1歳6ヶ月~)の2タイプ
モノフルオロリン酸ナトリム配合→歯の深層への浸透性に優れる
サンスターガム
濃度非公開
上記の両方を配合(成人用)
歯面表層への定着の良いフッ化ナトリウムと歯の深層への浸透性に優れるモノフルオロリン酸ナトリムの両方が配合されているがフッ素の濃度が非公開なのが残念
フッ化第一スズ 一般販売品には無い
歯がある程度でてきたら500PPM以上のフッ素濃度の歯磨剤でないとフッ素の明確なむし歯予防効果は期待できません。
4-2,フッ化物配合歯磨剤(歯科専売品)
フッ化ナトリウム配合→歯面の表層でのフッ素の定着性に優れる
ライオン
チェックアップ
ペースト・ジェル・フォームジェル
500PPMと950PPM
ペースト 950PPM
サンスター
バトラー・C&F
乳児用ジェル 150PPM
ペースト 500PPM
GC
プロスペック・コドモはみがき
ペースト 900PPM
ゾンネボード
レノビーゴ
100PPM
※レノビーゴは、乳児から使用できることを10年以上前からメーカが謳っている。
ビーブランド
ジェル 100PPM
ペースト 900PPM
モノフルオロリン酸ナトリム配合→歯の深層への浸透性に優れる
サンスター
プロクト
925PPM
上記の両方を配合している→歯科専売品無い
オーラルケア
ホームジェル
970PPM
白水貿易
(パスカル)
スタンガードジェル
970PPM
歯科医院で専売されている製品は、どの歯磨剤もフッ素濃度が製品のラベルに表示されています!
5-1,フッ化物配合歯磨剤の年齢別応用量
年齢 | 使用量 | フッ素濃度 | 注意事項 |
6ヶ月~2歳 | 切った爪程度少量 | 500ppm | 仕上げ磨きに保護者が行う |
3~5歳 | 5mm以下 | 500ppm泡状なら1000ppm | 就寝前が効果的 |
6~14歳 | 1cm程度 | 1000ppm | 同上 |
15歳以上 | 2cm程度 | 1000ppm | 同上 |
すべての年齢において1日2回以上を推奨
5-2,
低年齢児(2歳児まで)への使用法 フォームタイプ
フォーム状の歯磨剤:1日3回
(NaF:950 ppm)
フォーム状歯磨剤は、ほとんどが空気なので小児用ブラシへつけても、フッ素量は少なく、0.114~0.228mg程度である。
乳切歯のみ萌出
0.04g 毛先1/3
乳犬歯と第一乳臼歯萌出
0.06g 毛先半分
すべての乳歯が萌出
0.08g 毛全体
5-3,3歳~5歳児への使用法 (ペーストタイプの場合)
5-4,6歳児以上への使用法
6-1,推奨される効果的な使用法
6-2,イエテボリ・テクニックの紹介 Brikhed et al.,Caries Res,1995
イエテボリ・テクニック
フッ化物配合歯磨剤のう蝕予防効果は、フッ化物イオン濃度に依存しているので、1000ppm以上の濃度では500ppm高くなるごとに6%のう蝕予防効果の上昇があるといわれています。
反対に500ppm未満のものは、明確なう蝕予防効果は、認めれていません。
したがって、フッ化物配合歯磨剤を併用しないブラッシング(カラ磨き)もう蝕予防効果はほとんど認められていません。
このことから、フッ化物配合歯磨剤の使用開始年齢は、うがいのできる3~4歳ではなく、乳歯の萌出直後からと厚労省の見解が改正されました。また、他のフッ化物応用(フッ素洗口、歯科医院でのフッ素の歯面塗布法)との併用も可能です。
ただし、年齢に応じたフッ化物濃度と応用量を守って使用してもらうことが重要です。
歯科医師や歯科衛生士は、厳密な使用方法で患者さんへ歯磨剤の使用を勧めることは長続きせずあまり現実的でないことをよく知っています。
医学的な見解を充分に理解したうえで、生活スタイルに合う無理のない歯磨剤の使用について患者さんへ提案するように心がけたいと考えています。